桜が開花した始めての週末、お稽古場を飛び出し、大阪の藤田美術館へ行って参りました。
藤田美術館は、大阪城の北の端にある昭和29年に開館された美術館です。今年は開館60周年にあたるそうで、春は『開館60周年特別展序章』が開かれ、秋には特別展が開かれるそうです。学芸員さんの説明によりますと、序章の今回の展示では、藤田美術館にあることがあまり知られていないけれども、世間一般にはよく知られた作品が多く展示され、秋には藤田美術館といえばこれ、というものが展示されるとのことでした。藤田美術館美術館は元藤田男爵邸の蔵だったそうで、造りが重厚でクラシックです。空襲にも耐えたそうです。
今回の私たちの一番の目的は国宝の曜変天目茶碗にありました。土曜日には学芸員さんのガイドがあるとのことで、開館と同時に伺って一通りの展示を拝見してから、11時のガイドに参加いたしました。曜変天目茶碗は世界に3つしかなく、他には東京の青嘉堂文庫美術館と大徳寺龍光院と日本に全てがあり、いずれも国宝に指定されているそうです。ちなみに、大徳寺龍光院さんの展示が殆どなく、3つ全てを観ることは難しいことなのだそうです。
展示室は薄暗く、また展示ケースのスポットライトも強い光ではなく(他の展示物の鑑賞に影響するので)曜変具合が写真で見るほど分からなかったのですが、学芸員さんが強力な懐中電灯で照らして下さると、美しい瑠璃色が浮かび上がり、胸にすーっと感動が沸きあがりました。宇宙のような、という表現がされますが、正に星雲を目の前で見ているような心持ちになりました。昔の茶室は今よりずっと暗かったので、古の茶人達はこの瑠璃色は多分見られなかったそうです。拝見の時に窓を開けても光はさほど強くないし、外の光では反射が強すぎて色が浮かび上がらないものなのだそうです。
また、茶筅の跡が残っているそうですが、過去に所持した徳川家康、水戸徳川家・・・誰かはこの茶碗でお茶を飲まれたと考えられるそうです。
美術館の後は、高麗橋吉兆本店で、今年海外へ躍進される会員の壮行会が開かれました。その方のご家族とご友人もご一緒で和やかな席となりました。
その方は、料理の修行を長く積まれて来られました。吉兆の料理の奥深さをいろいろな角度から語って下さったので、深く料理を味わいつつ頂くことができました。その時間は、その方のこれまでの歩みと、こ れからの飛躍に思いを馳せるものともなりました。渡航後は時々、海外からの美味しいレポートをこのブログでも伝えて頂ければ嬉しいです。
吉兆本店は今宮戎の献茶祭のお茶席のお手伝いや点心席で何度かお伺いしていますが、お茶を志す者としては特別な場所だと感じます。今回はユネスコの無形文化遺産登録を記念して、お昼に松花堂弁当を出されていましたので、このような素敵なお祝いの席を設けることが出来ました。
広間のお床には、お店が大事にされている雛壇が飾られてて、その前で皆様と記念撮影をしお店を後にしました。心が一杯に満たされた、春の一日でした。(宗裕)
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