令和5年4月6、7日第82回表千家同門会広島大会

4月6、7日第82回表千家同門会全国大会が広島の厳島(通称宮島)において開催され、先生と共に4名で参加致しました。
前夜からの花散らしの雨が降り続く中、1日目は老舗旅館岩惣での家元席でお濃茶、時間調整と観光兼ねて千畳閣見学後、厳島神社内朝座屋の支部席でお薄を頂きました。
夜は広島在住の方々と合流し、島内レストランにて夕食、大いに盛り上がり楽しいひとときを過ごしました。
2日目は厳島神社の重要文化財 能舞台にて、猶有斎宗匠による献茶式に参列、その後大願寺での支部参与席でお薄、大聖院支部長席でお濃茶、点心を頂いた後厳島神社祓殿の拝服席に参加し、記念品の御砂茶碗を頂いて解散となりました。
厳島は島自体が御神体であるため、本土と橋を架ける事ができないそうです。フェリーなどでの往来が必須である不便さが、海に浮かぶ寝殿造の社殿、大鳥居をはじめ島全体を益々神秘的に見せているのかもしれません。
広島は残念ながら原爆のために様々なお道具が失われたとの事ですが、島内で製作された物や宮島に因んだお道具が多く披露され、どのお席も細やかな心づくしのおもてなしに、携わった方々の矜持を感じる事ができました。
また、満潮の刻限に合わせ開始された献茶式は、家元宗匠の流れるようなお点前を真近で拝見する事ができました。観光客も一体となった一種独特な雰囲気で厳かに進行していく中、聞こえてくるのは寄せては返す波、軒から落ちる雨雫、時々響く鳥の声。2日間を通し特に心に強く刻まれる印象深いお式だったと感じます。
家元席でのお掛物 碌々斎筆「衆花盡處松千尺 群鳥喧時鶴一聲」
様々な花が咲き終えた後の松の緑は一際美しく、沢山の鳥が囀る中に鶴の声は際立って聴こえる、即ち、道を得た人は世間にあって殊更格別に見事である との意です。
この多難の時代において、お互い心穏やかに相手を認め受け入れ、相互に高め合って道を求め行く事の大切さを示しているのでしょう。
地元若手作家のお道具や、仕事熱心のあまり銅の虫「銅蟲」と呼ばれた職人を由来とする広島の伝統工芸品にも触れることのできた今大会は、私達茶の道を志す者も含め、それぞれの人が各々の道の中で、松であり鶴であることを求め続けながら、精進していくことの大切さを教えてくれたように思います。
ここに集うことのできた幸せと、携わった多くの方々に感謝し、晴やかな気持ちで神の島を後にしました。(宗仁)


Sorry, Comments are closed.